「金や権力で抑えつけるよりも、効果を上げる方法がある」  
−2004年2月1日 掲載−
 

 今、「へぇー」というのが流行っている。
 フジテレビの「トリビアの泉」という番組があり、「素晴らしきムダ知識」を 紹介している。タレントによる“品評会”のメンバーが、その知識を聞いて、 「へぇー」と感じた度合いに応じて机の上のボタンを叩き、その総数で雑学の “驚き度”をランク付ける・・・・という趣向だ。

 物事の始まりには意外な動機があり、「へぇー」と思うことが多い。私がかつ て耳にした、次のような「へぇー」をご紹介しよう。

(1)リオのカーニバル
 毎年2月頃にブラジルで開催される国際的規模の大観光イベントで、外貨獲得 に貢献している。
 このカーニバルが大々的になったのは、次のような理由からだという。
 奴隷から解放された黒人たちが蓄財を徐々に肥やしているのを見て、白人の富 裕層たちは、「このまま放置しておくと黒人たちが金持ちになって力を持ち、や がては白人層を脅かすことになるかも知れない」と心配した。
 そこで、以前から白人社会で盛んになり始めていたカーニバルを利用して、黒 人たちに自らの全財産を叩いてパレードに参加させ、勢力が高まるのを抑えよう と企てた・・・・・・という説を耳にしたことがある。
 つまり、財力を持たせないための政治的圧力に近い動機があったということに なる。“参勤交代”と似た動機が感じられる。

(2)ダブルダッチ
 2本のロープを使った縄跳び競技で、速さやアクロバット的な跳び方の優劣を 競う“ダブルダッチ”というのがある。ニューヨークで少年たちによるコンテスト が開かれるようになり、全世界に広がって行った。
 ニューヨークという大都会の真ん中で、少年たちによる競技が開催されるよう になった経緯には、興味が引かれる。
 かつて当地で、少年非行が続発して社会問題となり、治安当局が取り締まりを 強化する一方で対応策に頭をひねっていた。そこで、あり余る彼らのエネルギー を発散させるために、ダブルダッチ・コンテストをすることにしたという。
 つまり、少年たちのエネルギーの発散を警察力で押さえ込むのではなく、発散 する方向を変えさせたことになる。
 多くの市民が熱い声援を送ってくれるのだから、少年たちも得意になって練習 に励む。2本のロープさえあれば、狭い路地裏でも練習が出来るし、安上がり だ。非行を取り締まるための警官の増員などの多額の予算も必要がない。
 その結果、非行が減って安全で美しい街になったという。
 競技のルールも1973年にニューヨークの警察官が考案したそうで、今では世界 大会も行なわれている。

(3)ディスカバージャパン
 1970年10月、国鉄がディスカバージャパンという国内観光旅行の大イメージ・ キャンペーンをした。
 その動機は、1970年に開催された「大阪国際万国博覧会」の観光客を運ぶため に、国鉄は大量の客車を作った。ところが、6千万人を超える入場者を運んだ国 鉄は、万博が終わるとともに余った客車の使い道に困ってしまった。
 車両を遊ばせておくのは良くないと思案の末、ポスト万博の旅行需要を喚起す るために、「国内旅行を見直そう」という大キャンペーンをすることにしたのだ そうだ。
 いわば、設備投資の有効活用のために企画したと言えるだろう。

 これらの動機を聞くと、「へぇー」と思わせてくれる。
 問題を解決し物事を上手く運ぶために、金や警察、法律、規制などの力を借り ようとする風潮が強い。補助金をバラまくなどの、安易な方法を選択するケース も多い。
 しかし、少し知恵を絞って機転を利かせると、多くの人が納得するような解決 の道は浮かび上がってくるものだ。
 別のケースだが、車のスピードを取り締まるために、高額の予算を使って標識 を林立させたり監視員を配置したりしなくても、道路の真ん中に畳を敷くように アスファルトの段差を作れば、ドライバーは減速をせざるを得なくなる。海外に 多く見られる“バンプ”と呼ぶ仕掛けだ。

 財力や権力に委ねるよりも、絞った<知恵>の方が、得られる効果で勝ること を証明している。

 と言いながら、文章を書いて公開している立場として何とも恥ずかしいのだ が、実は、上に紹介した例が真実かどうか、十分な検証が出来ていない。
 残念なことに、物事の本音や真実の姿、発端というものは、得てして、表面に は現れて来にくいもので、検証がしにくい。
 もし、真実や本質をご存知の方は、ぜひ、お教え願いたい。


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