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| 「ケータイの“ビジネス作法”を考えよう」 − 2001年4月30日 掲載 |
今回は、携帯電話についての辛口のコメントをお許し願わなくてはいけない。 私が仕事用として携帯電話を使い始めたのは、旧IDOの携帯電話である“ミニモ”が出るより前だったから、10年あまり前のことになる。当時、自動車電話は珍しくなかったが、携帯電話を持っていると、「へぇー、これが携帯電話ですか。これで話ができるのですか」と珍しがられたものだ。ただ、私が私用として携帯電話を持って四六時中、身につけるようになったのは、実は今年の始めからだ。メディアの世界に身を置いているにしては、かなりの“オクテ”になる。 これまでケータイを敬遠してきたのは、不愉快な体験が多く、それを持ち歩くのに疑問を持っているからだ。持ち始めて1年ほどして、仕事用として持つのをやめてしまった。持っている人の大多数は便利と思っているのだろうが、私には無神経にしか思えないことが何度かあった。ただ、ケータイを持っている人の中に、「自分は仕事が出来るんだゾ。会社として必要な人物なんだゾ」と自己顕示欲が強い人、またメールが飛び込んで来るのを今か今かと会議中でも画面を絶えずチェックしている人も、決して少なくはない。 あるコンサルタント会社の初対面の人が会社へ来て、応接室で話しが佳境に入った頃、彼のバッグの中のケータイが鳴った。彼はケータイを捜そうと大き目のバッグの中をゴソゴソと始めたが、見当たらない。そのうちにベルが鳴り止んでしまい、仕方なく彼は思い当たる人、3〜4人にかけ直した。が、さっき掛けてきた本人に行き当たらない。この間、私は待ちぼうけのまま、成り行きを見守っていた。そのコンサルタント氏に、私の貴重な時間を奪ったという自覚は見えない。 会議をしている真っ最中にベルが鳴り、外へ飛び出して行ったまま戻って来ず、他のメンバーは雑談をしながら待つだけ・・・・・・・というケースは多い。会議に集まるや否や、メンバーが全員揃っていないことを察すると、その待つ時間を使ってケータイを掛ける人も珍しくない。実は、こういった時間に交わされるインフォーマルな会話の中に、それぞれの本音が混じっていたりすることが多い。 結局、彼の会話が終わるのを全員で待ってから、会議を始めることになる。「○時に行きます」と約束をして、近くでわざわざ時間調整をしてピッタリに訪問しても、名刺交換をした直後に、「電話を一本、いい?」と言って、私の目の前で話しを始めた人もいた。 ある講演会で話しを聞いていると、講演中に突然、マイクに向かって話しをしている教授の内ポケットのケータイが鳴った。その教授は壇上で少しバツの悪そうな顔つきでケータイに向かって、「今、講演会で話しをしてる真っ最中でねぇ」。何百人が、その間、唖然とした雰囲気で待たされる羽目になった。 先日、会社のトイレの“小部屋”に腰掛けていると、突然、隣りの“小部屋”でケータイのベルが鳴る。彼は仕方なくケータイに出たが、上司からの「あの件はどうなった?」の問い合わせのようだ。「今、トイレで腰掛けています」とも言えず、隣室の私も気になり、言葉少なく実に歯切れの悪い返事をするしかない。お気の毒に……。 「電話が鳴ったら、3回以内に取れ」と教えられたものだが、いつの間にか、「電話は他の全てに最優先する」という文化が定着してしまっている。「いつでも、どこでも」情け容赦なく他人の時間に割り込み、仕事のペースをかき乱す横暴な道具になってしまった。意思決定のスピードが要求され、敏速な対応ができる道具として実に便利なのは当然だが、空白の時間を押し付けることが多いことも確かだ。 ケータイを掛ける時には、自分の回りだけではなく、話す相手は今話せる状態かどうかを見極めてから話しを続けるのがマナーの第1歩だ。会議にせよメールにせよ、文書や手紙にせよ、全てのビジネスコミュニケーjションは、相手を気遣うことからマナーが始まる。
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