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| 「インターネットの私的利用と“組織のモラル”」 − 2001年6月25日 掲載 |
アメリカのある会社が企業を対象に調査をしたところ、「インターネットの50%ほどが私的利用だった」という。勤務時間中に私的利用の多い社員を解雇したというアメリカからのニュースも、最近では珍しくない。日本でもインターネットに関する調査で、「私的利用」に注目した例が増えている。日本ガートナーグループが発表した調査結果(2001年5月24日)では、「インターネットの私的利用を、<厳禁><原則禁止><禁止はしているが黙認>を合わせると、約80%の企業が禁止している」とのことだ。 飲み会やマージャンの打ち合わせをメールでやり取りしているなら、まだカワイイ方だ。しかし、通信販売で商品を買ったり、個人的に株式の売買をしたり、オークションに夢中になったり、さらに、同窓会やテニス仲間の幹事や機関誌の編集長の仕事をしたり、パック旅行で親しくなった人たちと写真や感想文を交換したり、はては出会い系サイトやアダルトサイトに夢中になったりすると、明らかに仕事に支障をきたしてしまう。メールを使った私的なチャットやネットサーフィンをし始めると、なかなか止まらなくなる。正直に言って私自身、身に覚えがないわけではない。 知能犯や常習犯にもなると、回りから悟られないようにディスプレイの画面を暗くしたり、メールの文字の表示を小さくして他人からは読みづらくしたり、海外と連絡を取り合う仕事をしているわけでもないのに英語でメールを打ったり、ディスプレイの両脇にファイルを置いて横から見えにくくしたり、話し掛けようとすると画面を縮小したり、ホームページを見るのにウインドウを小さくして覗き込むようにして読んだり、昼休みも同僚と一緒に食事をせずに一人でプリンターを使い始めたり、また会議中もメールをチェックするために四六時中ケータイに目をやったり・・・・・・と、症状は随所に現れる。 電話だと回りに話の内容が聞こえるから、それが私用電話の抑止力になっている。どうも、「パソコン画面に向かっていると、仕事をしているように見える」ところに問題があるようだ。 メールのやり取りをする程度なら目をつぶることが出来ても、画像や動画、さらに好きな音楽ソフトやゲームソフトをダウンロードしたり、ストリーミング情報のサービスを受けたりすると、システム上の負荷に影響が出てくる。給料を貰っていながら、企業の貴重な資産である時間、サーバーやパソコンなどの設備資産、費用などの無駄遣いをしていることになる。 ただ近頃、私的利用に関心が集まっているのは、設備や費用といった金銭面より、むしろインサイダー取引や機密漏洩、内部告発、自社の社員による外部のホームページへの妨害など、企業の危機管理の一環として寛容では済ませられなくなってきた事情がある。 最近は私的利用を防止するため、特定のWebサイトへのアクセスや掲示板への書き込みを阻止したり、また送受信されたメールの内容をチェックするなどの管理機能を持ったソフトが増えてきた。 電話の全盛期にも、ダイヤルQ2へのアクセスをできなくしていた会社も多かった。インターネットのストリーム情報のサイトにはアクセスできない措置をしている企業も少なくない。システム部門に何人もの専任のモニター担当者を置いて、社員のメールのやり取りを常にチェックしている会社もあると聞く。全社員に対して、「私的利用が多いと疑わしき人のメールは、いつでもシステム部門でチェックできる体制になっている」との“御触れ”を流しておくだけで、抑止効果がある。就業規則にも、私用外出や機密保持と並んで、インターネットの私的利用の禁止も明記すべき時代になっている。 上司も、平日にゴルフに行ったり、しかもその連絡をメールを使ってやり取りしたり、接待と称して会社の費用でプロ野球観戦やコンサート鑑賞に行ったりする。会議中にケータイで呼び出された時に、「オレは忙しいのだ」と言わんばかりに上司が議論を中断したりすると、部下は「オレたちを軽視している」と思うだろう。そして、部下も別の場でその真似をする。上司が勝手な振る舞いをしていると部下の行動も乱れてくる。私的利用が多い人物は社会人としての資質が問われる一方、上司も、範を垂れる責任感を持ち自覚を植え付ける努力をしなくてはならない。 勤務時間中に床屋へ行ったり、パチンコ屋へ行ったり、長々とゴルフ談義に華を咲かせたり、部下にタバコを買いに行かせたりと、公私の峻別が出来ない上司が「インターネットの私的利用をやめよ」と声高に叫んでも、ヌカに釘だ。 決して私的利用を容認するわけではないが、インターネットを悪者扱いする前に、“それ以外”の部分で公私混同が組織内を大手を振ってまかり通っていないかどうか、マネジメントそのものを見直す必要があるだろう。私的利用を発見するソフトを導入したり、システム部門がチェックをしたりする前に、組織のモラルを改めること・・・・・・の方が先決なのではないだろうか。
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